紅葉する木としない木があるのはなぜ?
葉が赤色と黄色になるのはどうして?
カエデとイチョウの色の違いは?
その疑問、解消します!
落葉樹と常緑樹の違いと特徴、
紅葉になる条件と要因、
紅葉の色を左右する色素の役割も含めて、わかりやすくお伝えします。
紅葉する木としない木があるのはなぜ?
いよいよ紅葉の季節。
カエデの赤、イチョウの黄色、ニシキギやドウダンツツジのローズピンクなどなど、自然が作り出す絶妙な色合いに思わず目を奪われます。
秋色に染まった葉はとても美しいものですが、中には葉が緑色のままで、赤く紅葉しない木もありますよね。
この違いはどこにあるのでしょう?
紅葉する木とは?
葉が落ちる前に、葉の色が赤や黄色にかわることを「紅葉」と言います。
この、葉が落ちることを「落葉」といい、落葉する前に紅葉する木を「落葉樹」と呼びます。
つまり、
紅葉する木 = 落葉樹
という区分になります。
紅葉しない木とは?
紅葉の時期になっても葉が緑色のままの木は「常緑樹」と呼ばれます。
「常に緑の樹」
と書くのですから、字面からいっても紅葉は「しない」印象ですよね。
でも実際は、密かに人知れず紅葉してから葉が落ちているんです。
常緑樹の葉はずっと付いているようなイメージがありますが、常緑樹の葉も古くなってくると順に枯れて、葉が枯れ落ちる時には紅葉します。
古い葉は、緑のまま落ちるのではなく、紅葉してから落ちるのです。
ただ、落葉樹のように、いっせいに紅葉してから葉が落ちるわけではないので、紅葉していないように見えるんですね。
紅葉する落葉樹は1年で全ての葉を落としますが、常緑樹の葉というのは、ローテーションで入れ替わります。
常緑樹は、古くなって色づいた葉をカバーするように若い葉が生えてくるので、樹木全体としては、緑色のカラーがキープされるというわけです。
スギやマツなどの針葉樹も紅葉しないといいますが、これも常緑樹と同じで、葉が枯れるときには紅葉します。
落葉樹と常緑樹の違いとは?
樹木は、葉の性質によって常緑樹・落葉樹・半落葉樹に分類されます。
ここでは、紅葉する落葉樹と紅葉しない(ように見える)常緑樹について、違いをお伝えしますね。
落葉樹とは?
落葉樹とは秋に紅葉する樹のことです。
イチョウ、サクラ、コナラ、ブナ、ハナミズキなどが落葉樹として知られています。
落葉樹は、春の季節に新芽を出した後、1年のうちに葉を落とす特徴があります。
4月頃や7月頃になると、内部で樹液を溜めるようになります。
そして、12月頃の寒い時期になると、葉が付いていない状態で休眠をします。
冬の寒さと乾燥から身を守るために、秋には葉を落として活動を停止するんですね。
落葉樹は、冬を越えて春が来るとまた新芽を出す、というように1年サイクルで葉が入れ替わります。
常緑樹とは?
常緑樹とは、1年を通して葉が残っている樹のことです。
クスノキ、スギ、ユズリハ、オリーブ、キンモクセイなどが常緑樹として知られています。
これは長崎県諫早市高城町(たかしろまち)にある諫早公園(いさはやこうえんのおおくす)です。
常緑樹は、気温が低下する冬の寒い時期でも、落葉樹のように全ての葉を落とすことはありません。
少しずつ落葉したり、新しい葉が伸びるタイミングを狙って古い葉っぱを落としたりするので、葉が一枚もない状態になることがないのです。
葉が入れ替わって落葉するため、年間を通じて葉を付けているように見えます。
紅葉の葉が赤いのと黄色くなるものの違いは?
葉の色が落葉前に赤や黄色に変化する現象は、外気と葉に含まれる色素が影響しています。
外気の影響で葉が赤くなったり、黄色くなったりするのには、主に以下の4つの条件があります。
- 乾燥
- 気温の低下(外気温が8度以下)
- 寒暖差
- 太陽光
これらの条件が揃うと、樹木は休眠のため葉を落とそうと、葉の付け根にストッパーをかけて、養分(糖分)を送るのをやめます。
樹木は自分で養分の流れを遮断するんですね。
そうなると、葉の中にあった光合成のための色素や葉緑素の使いみちがなくなるため、それらは分解され、徐々に緑色が失われていきます。
それと同時に、葉の中に閉じ込められた養分(糖分)は、赤い色の元になるアントシアニンという植物色素に変化していきます。
アントシアニンは最近、老化防止や長寿に効果があると話題になっているのでご存知かもです。
モミジやカエデなどの葉が赤くなるのは、アントシアニンによるもので、アントシアニンは光合成で生産された糖から作られます。
こうして、葉から緑色がなくなり、赤い色が増え、徐々に赤く染まっていきます。
そして、葉が栄養を使い切ると木から落ちて、落ち葉となるわけです。
黄色になる葉があるのはどうして?
葉は基本、緑→黄色→赤色と変化していきます。
これは葉の中に含まれる色素の違いによるものです。
- 緑色の色素:葉緑素クロロフィル
- 黄色の色素:カロチノイド
- 赤色の色素:アントシアニン
「クロロフィル」は、葉を緑色にしている色素(葉緑素)のことです。
クロロフィルは光を吸収し、「二酸化炭素+水」を、「酸素+炭水化物」に換えるためのエネルギーを供給しています。
「カロチノイド」は、葉を黄色にする色素。
光からエネルギーを吸収する役割をして、そのエネルギーはクロロフィルに運ばれます。
「アントシアニン」は、葉を赤色にする色素です。
ブドウの皮の赤い色や熟したりんごの皮の原因となるものです。
■ 紅葉の種類
落葉の前に葉の色が赤や黄色にかわることを紅葉と言いますが、紅葉には種類があります。
- 紅葉(こうよう):カエデ、サクラ、ナナカマド、ケヤキ、コナラなど
- 黄葉(こうよう):イチョウ、ポプラなど
- 褐葉(かつよう):ブナ、ケヤキ、トチノキなど
「紅葉」は、落葉時に葉が赤色に変わること。
前述のように、赤色色素のアントシアニンが影響しています。
「黄葉」は、落葉時に葉が黄色に変わること。
紅葉と同じで、低温と日照時間などの条件が揃うと、葉緑素が分解されて、もともと葉にあった黄色色素のカロチノイドが目立つようになり、葉が黄色くなります。
黄色から赤く紅色に変化する葉の様子は、カロチノイドの量よりもアントシアニンが増えていく過程を、わたしたちが見ていることになります。
「褐葉」は、落葉時に葉が赤褐色や茶褐色などの「褐色」に変わること。
紅葉・黄葉と同様に、一定の条件が揃うと葉緑素が分解され、もともと葉に蓄えられている褐色色素が目立つようになり、葉が褐色となります。
木によって色素の蓄積量が異なるので、色とりどりの紅葉となるのです。
カエデとイチョウの色の違いは?
カエデやサクラなどの葉は赤く染まり、イチョウやポプラなどの葉は黄色ですよね。
この違いは、色づく仕組みが違っているからです
先述のように、赤く染まる葉はアントシアニンの影響です。
葉が遮断された状態で、日光を浴びて糖とタンパク質が化学反応し、アントシアニンが作られ、葉が赤く色づきます。
黄色くなる葉にはカロチノイドとクロロフィルが含まれています。
カロチノイドは、春からずっと葉の中にある色素です。
季節が進み気温が下がってくると、クロロフィルが先に分解され緑が消えていきます。
そうなると、分解が遅いカロチノイドの色が際立って見えるようになってきます。
ここに、赤い色素が加わらないので、葉の色は緑から黄色へと移り変わって見えるのです。
赤く紅葉する葉にもカロチノイドは含まれています。
クロロフィルが消えてアントシアニンが増えるまで、カロチノイドが優位な時期があると、
といった感じで葉色が変化していくので、紅葉狩りの名所などでは美しいグラデーションを見ることができます。
紅葉する木としない木があるのはなぜ?葉が赤色と黄色になる違いは? まとめ
「紅葉する木」と「紅葉しない木」の違いは、「落葉樹」か「常緑樹」の違いです。
- 紅葉する木 = 落葉樹
- 紅葉しない木 = 常緑樹
落葉樹は秋に紅葉する樹。
常緑樹は、1年を通して葉が残っている樹。
正しくは常緑樹もローテーションで紅葉しています。
緑色の葉が赤くなったり黄色くなったりするのには、外気と葉に含まれる光合成色素が影響しています。
なので、いっせいに紅葉、といったことにはなりません。
世界一美しいといわれる日本の紅葉。
日本の紅葉の景色は、我が国ならではの土地柄と季節の微妙な気候バランスの上で成り立っているんですね。
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