暑さ指数とはどんな意味?
指数ってなんのこと?
気温との違いは?
情報はどこで分かるの?
指針の使い方は?
その疑問、解消します!
暑さ指数(WBGT)と熱中症の関係、
暑さ指数が発表されるようになった由来、
暑さ指数の調べ方も含めて、
わかりやすくお伝えします。
暑さ指数とはどんな意味?
ここ数年、日本の夏は記録的な暑さが続いています。
40度前後になる気温を記録する猛暑日も
あまり珍しくなくなった今日この頃。
日本気象協会によると、
東京ではこの100年間で
年間での平均気温が3.2度上昇し、
最低気温は4.4度、
最高気温は1.7度上がっているといいます。
この傾向は東京だけではなく、
全国的に年間の平均気温が上がっているのです。
年々暑くなるのが早くなっているような気もします。
総務省消防庁は、
2018年の4月30日~9月30日の
熱中症による救急搬送者数(速報値)が
全国で9万5073人だったと発表しました。
これは2008年の調査開始以降、
年間最多の人数です。
そんな中、よく見聞きするようになった言葉に、
『暑さ指数(あつさしすう)』
があります。
暑さ指数とは?
暑さ指数は環境省が発表しています。
暑さ指数を簡単に言うと、
熱中症へのかかりやすさを示す指数です。
ここでいう「指数」とは基準値のことです。
熱中症に備えるためのもので、
正式名称は『湿球黒球温度(しっきゅうこっきゅうおんど)』といいます。
『暑さ指数』は『WBGT』とも表記されます。
暑さ指数はもともとアメリカで提案されたもので、
『WBGT』は、「Wet-Bulb Globe Temperature」の略称です。
暑さ指数は熱中症に大きく影響する、
「湿度」・「気温」・「周辺の熱環境(日射・輻射熱)」
の3つの要素で計算し、
単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されます。
ニュースや天気予報を見ていると、
日中の「最高気温」にどうしても目が行きがちですが、
単純に気温だけでなく、
湿度や日射しなどの違いをも考慮して、
熱中症の予防につながるのが
『暑さ指数(WBGT)』です。
暑さ指数の由来
暑さ指数は、1954年(昭和29年)、
熱中症を未然に防ぐことを主な目的として、
アメリカ・サウスカロライナ州のビューフォート郡、
パリスアイランドにあるアメリカ海兵隊の新兵訓練所で、
熱中症のリスクを事前に判断するために開発されました。
映画『フルメタル・ジャケット』の舞台にもなっている、
アメリカ海兵隊のブートキャンプ(新兵訓練)は
過酷なことでも有名です。
海兵隊の訓練は非常に厳しい上、
パリスアイランドの気候は湿度が高く、
訓練中は服装や装備に
厳格な規則や制約があったため、
新兵が熱中症になりやすかったことが
暑さ指数(WBGT)の提案につながったと考えられています。
1982年(昭和57年)、
暑さ指数(WBGT)はISO(国際標準化機構)により、
国際基準として位置づけられ、
日本では2006年(平成18年)から、
環境省が「熱中症予防情報」サイトで、
国内各地の暑さ指数(WBGT)の情報を提供しています。
暑さ指数と気温の違いは?
暑さ指数と気温は同じ摂氏度(℃)で示されますが、
『暑さ指数(WBGT)』は、
熱中症を予防することを目的としています。
前述のように、
暑さ指数は熱中症に大きく影響する、
「湿度」・「気温」・「周辺の熱環境(日射・輻射熱)」
の3つの要素で計算された指数で
労働環境や運動環境の指針として有効であると認められ、
ISO等で国際的に規格化されています。
輻射熱というのは、
地面や建物・体から出る熱で、
温度が高い物からはたくさん出ます。
『気温』とは大気の温度のことです。
通常、地上1.5mの高さの通風のよい日陰で計った温度をいい、
計測用の温度計を直接外気に当てないように計測しています。
前述のように、
暑さ指数と気温は同じ摂氏度(℃)で表されますが、
実際のところ、その値は
暑さ指数と気温とでは異なってきます。
たとえば、最高気温が低くても、
暑さ指数が高い日の方が、
熱中症で搬送される人が増える傾向にあります。
また、気温が同じ日でも、
湿度が高ければ暑さ指数も高くなるので、
やはり熱中症にかかりやすくなります。
湿度が高い場所では汗が蒸発しにくいので、
身体から熱を放出する能力が減少して、
それで熱中症になりやすくなるからです。
暑さ指数の指針と使い方
暑さ指数(WBGT)が28℃(厳重警戒)を超えると、
熱中症の患者が著しく増加することが知られています。
暑さ指数の情報は
環境省の『熱中症予防情報サイト』で
チェックすることができます。
全国約840地点の実況値や
2日先までの3時間ごとの予測値を見ることができます。
また、
メール配信でも無料で情報を受け取れます。
全国840地点から
観測地点(5地点まで)、
配信するレベル、
受信する暑さ情報、
予測値の配信時刻(1日1回、6~20時)、
実況値の配信時刻(1時間に1回/1日に1回)を設定すると、
それに応じた情報を受けとることができます。
暑さ指数 :日常生活に関する指針
日本生気象学会では、
「日常生活に関する指針」を下記のとおり公表しています。
温度基準 (WBGT) |
注意すべき 生活活動の目安 |
注意事項 |
---|---|---|
危険 (31℃以上) |
すべての生活活動で おこる危険性 |
高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。 外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。 |
厳重警戒 (28~31℃※) |
外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。 | |
警戒 (25~28℃※) |
中等度以上の生活 活動でおこる危険性 |
運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる。 |
注意 (25℃未満) |
強い生活活動で おこる危険性 |
一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。 |
※(28~31℃)及び(25~28℃)については、それぞれ28℃以上31℃未満、25℃以上28℃未満を示します。
日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針Ver.3」(2013)より
(■ ここで掲載している指針は、環境省から提供されているものです)
暑さ指数 :運動に関する指針
(公財)日本スポーツ協会では、
「熱中症予防運動指針」を下記のとおり公表しています。
気温 (参考) |
暑さ指数 (WBGT) |
熱中症予防運動指針 | |
---|---|---|---|
35℃以上 | 31℃以上 | 運動は原則中止 | 特別の場合以外は運動を中止する。 特に子どもの場合には中止すべき。 |
31~35℃ | 28~31℃ | 厳重警戒 (激しい運動は中止) |
熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。 10~20分おきに休憩をとり水分・塩分の補給を行う。 暑さに弱い人※は運動を軽減または中止。 |
28~31℃ | 25~28℃ | 警戒 (積極的に休憩) |
熱中症の危険が増すので、積極的に休憩をとり適宜、水分・塩分を補給する。 激しい運動では、30分おきくらいに休憩をとる。 |
24~28℃ | 21~25℃ | 注意 (積極的に水分補給) |
熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。 熱中症の兆候に注意するとともに、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給する。 |
24℃未満 | 21℃未満 | ほぼ安全 (適宜水分補給) |
通常は熱中症の危険は小さいが、適宜水分・塩分の補給は必要である。 市民マラソンなどではこの条件でも熱中症が発生するので注意。 |
※暑さに弱い人:体力の低い人、肥満の人や暑さに慣れていない人など
(公財)日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(2019)より
(■ ここで掲載している指針は、環境省から提供されているものです)
暑さ指数とはどんな意味?気温との違いは?指針の使い方もご紹介 まとめ
『暑さ指数』は環境省が発表する、
熱中症へのかかりやすさを示す指数です。
正式名称は『湿球黒球(しっきゅうこっきゅう)温度』で、
『WBGT』とも表記されます。
暑さ指数は熱中症に大きく影響する、
「湿度」・「気温」・「周辺の熱環境(日射・輻射熱)」
の3つの要素で計算します。
単位は『気温』と同じ摂氏度(℃)で示されますが、
『気温』とは大気の温度のことなので、
熱中症予防が目的の暑さ指数とは異なります。
暑さ指数の情報は
環境省の『熱中症予防情報サイト』で
チェックすることができます。
暑さ指数(WBGT)が28℃(厳重警戒)を超えると、
熱中症の発症率が急増します。
気温だけを見て熱中症に備えようとすると、
「今日は猛暑日じゃないから大丈夫」
と油断して、
湿度や日射しなどに対する注意を忘れて、
危険な状態をまねくことも。
熱中症は命に関わる病気です。
暑さ指数は2日先までサイトでチェックできるので、
予測値などをサイトで確認し、
熱中症対策をしっかりとってくださいね。
◇ こちらの記事もご参考に。
・室内の冷房が効いていてもなる熱中症の正体と死にいたる理由とは?
・夏日と真夏日と猛暑日それぞれの違いは?気象庁の高温注意情報とは?
・うだるような暑さとはどんな意味?うだるとゆだるの違いは?使い方と文例
◇ 夏場の水不足にもご注意を。
・取水制限と給水制限の違いとは?渇水や水不足による影響はどこまで?