パンデミックとアウトブレイクとエピデミックの違いとは?わかりやすく教えて!

パンデミックとはどんな意味?

アウトブレイクやエピデミックとの違いとは?

どんな時に使う言葉なの?

その疑問、解消します!

過去にパンデミックが起こった歴史上の事例、

パンデミック・アウトブレイク・エピディックの比較も含めて、

わかりやすくお伝えします。

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パンデミックとはどんな意味?

2020年3月11日、WHO(世界保健機関)は

記者会見で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を

「『パンデミック(pandemic)』相当である」

という見解を表明しましたね。

パンデミックを一言でいうと

世界的な大流行

という意味です。

WHOはその影響力から、『パンデミック』という表現をずっと避け続けていたものの、

テドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は3月11日の記者会見の中で

「感染の拡大と深刻さの驚くべきレベルと、対策不足を深く懸念している」

との見方も示しました。

WHOがパンデミックという表現をするのは、2009年の新型インフルエンザ以来11年ぶりのことです。

パンデミックとは?

パンデミック=『世界的な大流行』

とお伝えしましたが、

英語の 「pandemic」 は、ある感染症(伝染病)の世界的な大流行を表す語句

『世界的流行病』という名詞でよく使われる単語です(形容詞で使われることもアリ)。

感染症というのは、微生物が体内に侵入し、繁殖したために発生する病気のことです。

例えば、ウイルスや細菌、原虫などの病原体がヒトの体の内部へ侵入して増殖し、その結果、咳や発熱、下痢などの症状が発生することを言います。

風邪も感染症のひとつです。

現在までヒトの世界でパンデミックを起こした感染症には、

  • 天然痘
  • インフルエンザ
  • AIDSなどのウイルス感染症
  • ペスト
  • 梅毒
  • コレラ
  • 結核
  • 発疹チフスなどの細菌感染症
  • マラリア(原虫感染症)

など、さまざまな病原体による感染症が存在しています。

過去の大きなパンデミック

感染症によるパンデミックは古代からあり、わたしたち人類に大きな被害を与えてきました。

過去に起きたパンデミックの中で有名なものには、14世紀にヨーロッパで流行った『ペスト(黒死病:the Black Death)』や、1918年の『スペインかぜ』があります。

14世紀のペストの流行では、当時のヨーロッパ総人口の約3分の1にあたる、およそ2500万人から3000万人もの死者を出したと言われています。

1918年のスペインかぜはインフルエンザの流行です。

スペインかぜという通称ですが、その正体はH1N1亜型インフルエンザと呼ばれるインフルエンザです。

スペインかぜの場合、明確な流行源は不明なんですが、初めて感染情報が出たのがスペインだったことから、この名で呼ばれています。

1918年から1919年にかけて流行したインフルエンザは全世界で流行し、死亡者は約5000万人から1億人にものぼり、

おそらく1億人は超えていたと想定されています。

感染が広がった要因として、

ちょうどこの時期は第一次世界大戦の末期にあたり、

世界的に軍隊や労働者の移動が活発となったことが、より被害を甚大なものとなりました。

感染は鉄道や河川といった輸送ルートを通過して、海岸部の港湾都市から奥地へと拡散していきました。

このスペインかぜは、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によるインフルエンザ・パンデミック重度指数(PSI)において、最上位のカテゴリー5に分類されています。

前述の2009年の新型インフルエンザの世界的流行は、WHOから「パンデミック宣言」がなされたものの、実際の被害はこれらに比べるとはるかに小さなものでした。

2000年代にはSARS(重症急性呼吸器症候群)というものもありました。

SARSも新型のコロナウイルスが原因でした。

2002年から2003年に流行した新型コロナウイルスのSARSについてはパンデミックには至らなかったものの、その一歩手前の状態でした。

パンデミックの意味としては

「ある病気(感染症)が世界中で流行すること」

ですが、

感染症などとは関係なく世界的な流行を指すこともあります。

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アウトブレイクとはどんな意味?

新型コロナウイルスの報道では

アウトブレイク(outbreak)』

という言葉もよく見聞きしますね。

英語の「outbreak」は、疫病や戦争・紛争などによく使われる単語で、

もともとの単語の意味は直接的に病気の流行規模のことを指しているわけではありません。

ですが、今の新型コロナウイルス関連の話題で『アウトブレイク』という言葉を用いている場合は、

ある地域で突発的に起きた感染例の増加を指し

まだ感染者数は少ない状況ながら、予測した数よりも多くの感染が生じている事態

を示しています。

今回の新型コロナウイルスは、中国の武漢で突発的に新型肺炎が広まったことに端を発しました。

そこから『アウトブレイク』して、研究者たちによって新型コロナウイルス「SARS-CoV-2」ということがわかったわけです。

突発的に起こった事象で、当初の予想よりも感染が広がったんですね。

アウトブレイクの事実がわかると国や研究機関(中国なら公衆衛生当局、アメリカならCDC)が直ちに調査を開始します。

感染症の流行を防止するために正確な感染者や発症者の数を突き止め、得られたデータから最適な戦略が考案されます。

1995年制作のアメリカ映画『アウトブレイク』、ご存知でしょうか。

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すさまじい伝染力と死亡率を持つ未知の病原体の脅威と、それに立ち向かう人々の姿を描いたパニック・サスペンス映画なんですが、

謎の感染症の原因を究明していく医師団の必死の仕事には、映画とはいえ本当に頭が下がります。

映画ではシダークリークという架空の街で病原菌のウイルス が広がり、アウトブレイクを起こします。

中国の武漢から始まり、被害が拡大した新型肺炎の様子はまさにこの映画の世界が現実化しています。

エピデミックとはどんな意味?

エピデミック(epidemic)』という言葉も耳にしたことがあるかもしれません。

エピディックは、より広い範囲でアウトブレイクが生じた状態です。

ある一定の地域内で多くの感染例が同時に、

または短期間で多発している状態のことを指します。

なので「epidemic」というと、「流行」や「蔓延(まんえん)」といった言葉に訳されることが多いようです。

エピディックは短期間で人々に影響が及び、時には地域や国を超えて広がることもあります。

感染の規模でいうと

アウトブレイク (集団発生)< エピディミック(流行)< パンデミック(世界的大流行)

となります。

パンデミックとアウトブレイクとエピデミックの違いとは?わかりやすく教えて!まとめ


パンデミック(pandemic): 世界的な大流行病

アウトブレイク(outbreak): ある地域で突発的に起きた感染例の増加

エピディック(epidemic): より広い範囲でアウトブレイクが生じた状態

パンデミックの代表的な例で14世紀のペストをご紹介しましたが、ペストは19世紀にも大流行しています。

1894年、香港から広がったペストは中国とインドで約1200万人が亡くなりました。

このとき日本から香港に派遣された調査団に、「日本の細菌学の父」として知られる細菌学者の北里柴三郎がいて、到着2日後にペスト菌を発見したことは有名な話です。

今回の新型コロナウイルスも世界中の英知を結集して、一日も早く治療薬が開発されるよう願うばかりです。

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