8月を葉月と呼ぶのはなぜ?
意味や由来にはどんなことが含まれてるの?
旧暦の八月の呼び名は他にもある?
その疑問、解消します!
由来に多くの説がある要因、
どうして「葉」の字を当てたのか、
旧暦と新暦の季節感の違いも含めて、
わかりやすくお伝えします。
8月を葉月と呼ぶ由来はどこから?
夏まっ盛りの8月。
旧暦では8月のことを「葉月」と呼びます。
葉月は「はづき」と読みます。
葉月という字面を見ると、「葉」という漢字から、青々と茂る緑の葉をイメージします。
緑の葉なら、8月よりも5月や6月の方が新緑の季節です。
この旧暦の8月というのは、今(新暦)の
『白露(9月8日頃)~寒露の前日(10月7日頃)』
が目安とされています。
実際の時期としては、ほぼほぼ9月です。
この時期も緑モリモリといった感じじゃないですよね。
なぜ8月を葉月と呼ぶようになったのでしょう。
それにはさまざまな説があります。
8月を葉月と呼ぶ由来や意味は?
8月を葉月、
「葉」と「月」という漢字をあてられた由来には諸説あります。
「これが正しい!」
という説はないのですが、有力なものをご紹介しますね。
先述のように、旧暦の8月は今の9月8日頃から10月7日頃。
この時期になると、樹木から「葉」が落ち始めることから、
「葉が落ちる月」→「葉落ち月」→「葉月」
と呼ばれるようになったという説です。
ちなみに、『日本書記』でも8月を「はつき」と読ませているので、呼称(音)としては古代から存在した言葉として考えられているんですが、どういうわけか、和歌などには「はつき」を詠んだものがないといいます。
こういったことも、由来の特定が難しい一因とされ、たくさんの説が生まれた原因のようです。
旧暦の葉月の由来は他にもあるの?
葉が落ちる様子から「葉月」となったという前述の説以外にも、以下のような説があります。
- 稲が大きくなることで稲穂が張り出す事から「稲張り月」
- 台風が来る月なのでその方角にちなんだ「南風月(はえづき)」
- 北方から雁が初飛来するので「初月」
- 樹木の葉っぱが美しいから「葉月」
有力なのは、
「葉が落ちる月」→「葉落ち月」→「葉月」
とお伝えしましたが、
地域によっては、広く知られている説にも違いがあるようです。
ひとつひとつの説をお伝えしますね。
稲の穂が張り出す「稲張り月」
「稲張り月」は「ほはりづき」と読みます。
田植えした稲が成長し、実るにつれて稲穂が張ってくるようになる時期の様子を「稲張り月」と呼んでいたのが由来という説です。
葉月の時期となってる旧暦の8月は、今の9月上旬~10月上旬頃なので稲穂が実る時期でもありますね。
そこから、
「穂張り月」→「張り月」→「葉月」
となったとされています。
古くから農業を主軸に生活してきた日本人にとって、実りの秋を目前にした田んぼの風景が由来になるのも頷けます。
台風が来る「南風月」
葉月、旧暦の8月は今の9月上旬~10月上旬でしたね。
この時期は台風がよく来る月です。
台風は南からやってくるので、「南風月(はえづき)」と呼ぶようになり、それが変化したという説です。
「南風月(はえづき)」→「葉月」
雁が初飛来する「初月」
旧暦の8月、今の9月の時期は、北の方から雁が渡って来る頃です。
雁は、「かり」もしくは「がん」とも呼ばれるカモ目カモ科ガン亜科の水鳥のうち、カモより大きくハクチョウより小さい鳥のことです。
旧暦の8月になると初めて雁が飛んでくるというので、「初来月(はつくつき)」、もしくは「初雁月(はつかりづき)」から葉月になったという説です。
- 「初来月(はつくつき)」→「初月」→「葉月」
- 「初雁月(はつかりづき)」→「初月」→「葉月」
実際、旧暦の8月の別名の中にも、「雁来月(かりくづき・がんらいげつ)」という呼び方があるので、この説も「ありかも」と思わせます。
葉っぱが美しいから「葉月」
旧暦の8月になると、広葉樹が色づき、徐々に美しい紅葉になっていきます。
その様子から、
「葉っぱの色が美しくなる=葉月」
という説です。
「葉が落ちる月」→「葉落ち月」→「葉月」
とはまったく別の視点で「葉」を観ている説ですね。
8月の呼び名は他にもある?
旧暦の8月を葉月と呼び、今の新暦の8月でも別名として用いられているいる葉月。
8月の呼び名としては最もポピュラーですが、葉月の他にも、8月にはいろいろな呼び名があります。
- 秋風月(あきかぜづき)
- 雁来月(かりきづき)
- 観月(かんげつ)
- 木染月(こぞめつき)
- 紅染月(べにそめづき)
- 建酉月(けんゆうげつ)
- 壮月(そうげつ)
- 竹春(ちくしゅん)
- 仲秋(ちゅうしゅう)
- 月見月(つきみつき・つきみづき)
- 燕去月(つばめさりづき)
8月に限らずですが、旧暦(陰暦)での月の名称はとても多く、ここでご紹介したのは、ほんの一部です。
その中でも、8月の異称としては「葉月」が一般的です。
次に知られているのは秋風月(あきかぜづき)・雁来月(かりきづき)・観月(かんげつ)・木染月(こぞめつき)・紅染月(べにそめづき)あたりでしょうか。
それぞれの意味を簡単にお伝えしますね。
秋風月(あきかぜづき)
「秋風月(あきかぜづき)」の由来は、秋が近づいてくることを風が知らせてくれるという意味からきています。
暦の上では、毎年、8月7日頃は「立秋」ですでに秋になっています。
旧暦では9月あたりなので、風に秋を感じる頃合いでもありますね。
雁来月(かりきづき)
上述の、雁が初飛来する「初月」でも触れましたが、北の方から雁が渡ってくることから、「雁来月(かりくづき・がんらいげつ)」と言われるようになりました。
雁は冬季になると日本へ南下して越冬するというのが特徴となっています。
観月(かんげつ)
お月見といえば9月ですが、昔は旧暦の8月です。
このお月見にちなんで、「観月(かんげつ)」という異名があります。
他にも8月のお月見関係の異名としては、「月見月(つきみつき・つきみづき)」というのがあります。
木染月(こぞめつき)
8月は旧暦の9月ということから、9月になると樹木の葉の色が変わって、
木全体の色が変わったように感じることから、「木染月(こぞめつき)」という呼び名がついたと言われています。
紅染月(べにそめづき)
「紅染月(べにそめづき)」は葉が色づき始める季節の紅葉が由来だと言われています。
8月を葉月と呼ぶ由来は?旧暦の呼び名の意味から見える9月の季節感のまとめ
旧暦では8月のことを「葉月(はづき)」と呼びます。
新暦で言うと目安としては、
『白露(9月8日頃)~寒露の前日(10月7日頃)』
ですが、実際の時期としてはほぼほぼ9月です。
葉月と呼ばれる由来や意味には以下のようなものがあります。
- 樹木から「葉」が落ち始めることから「葉月」
- 稲が大きくなることで稲穂が張り出す事から「稲張り月」
- 台風が来る月なのでその方角にちなんだ「南風月(はえづき)」
- 北方から雁が初飛来するので「初月」
- 樹木の葉っぱが美しいから「葉月」
葉月が9月ということを念頭に置くと、葉月と呼ばれる理由も、諸説ある名前の由来も腑に落ちます。
また、葉月以外の別名(異称・異名)も、秋の季節を感じるものばかりです。
今の8月は連日の猛暑で秋を感じるには程遠く、落ち葉やお月見が恋しい限り。
ということで、わたし的には葉月の由来は『「葉」が落ち始めることから「葉月」となった』説推しで、秋を楽しみに八月の暑さを乗り切りたいところです^^
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