11月を霜月と呼ぶのはなぜ?
どんな意味があるの?
霜月の名前の由来は?
11月の別名は他にもある?
その疑問、解消します!
和風月名の名称、
どうして「霜」の字をあてたのか、
旧暦と新暦の季節感の違いも含めて、
わかりやすくお伝えします。
霜月とはどんな意味?
風が冷たくなって、早いところでは初雪が降る11月。
立冬を過ぎると、朝晩は寒さを感じることも多くなり、コートが必要になってきますね。
11月は「霜月(しもつき)」ともいいます。
もともと「霜月」は旧暦(陰暦)の11月を意味する言葉でした。
旧暦というのは1872年(明治5年)まで日本で使われていた暦のことで、月の満ち欠けと太陽の運行を組み合わせた暦の作り方です。
現在わたしたちが使っている暦は「新暦」。
1873年(明治6年)の1月1日から使われ始め、現在に至っています。
新暦は、古代エジプトを起源とするグレゴリオ暦で、太陽の運行をもとにした太陽暦です。
新暦は世界基準の公式な暦で日本を含め多くの国で使われています。
旧暦が陰暦と呼ばれるのに対して、新暦は陽暦とも呼ばれます。
新暦では、12か月を1月~12月の数字で表していますが、
旧暦時代には、それぞれの月を季節感がわかるような和風の名前で各月を表現する『和風月名』という日本独自の名称が使われていました。
その『和風月名』の11番目の月を「霜月」と呼んでいたのです。
- 1月:睦月(むつき)
- 2月:如月(きさらぎ)
- 3月:弥生(やよい)
- 4月:卯月(うづき)
- 5月:皐月(さつき)
- 6月:水無月(みなづき)
- 7月:文月(ふみつき)
- 8月:葉月(はづき)
- 9月:長月(ながつき)
- 10月:神無月(かんなづき)
- 11月:霜月(しもつき)
- 12月:師走(しわす)
現在でも、新暦の11月にあてはめて、
「霜月=11月の和風月名」
として用いています。
◇ 和風月名について詳しくはこちら。
・睦月から始まる旧暦の月の名前の由来と意味、別名や異称の読み方は?
・日本の旧暦の月名「和風月名」もう忘れない別名の覚え方オリジナル5選
霜月は11月の和風月名ですが、月の満ち欠けと太陽の運行を組み合わせた旧暦(陰暦)を、単純に太陽の運行に基づいた新暦にそのままあてはめても時期が異なってしまいます。
そのため、新暦は旧暦(陰暦)から1か月ほど遅れています。
旧暦の11月(霜月)を今の新暦に換算すると、11月下旬から翌年の1月上旬頃に当たります。
11月が霜月と呼ばれる由来は?
11月の旧暦の名称は「霜月」。
「霜」とつくだけで寒さが感じられますが、その由来には諸説あります。
どれが正解というのはありませんが、代表的なものをお伝えしますね。
霜降月が変化した
霜月について、平安末期の歌人・藤原清輔(ふじわらのきよすけ)は『奥儀抄(おうぎしょう)』という和歌を論じた著作の中で、
と記しています。
わかりやすく言うと、
「11月の『霜月』は、霜が多出する『霜降月』が誤って『霜月』になった」
という意味です。
11月が霜月と呼ばれる由来は、この藤原清輔の解釈がほぼ定説になっています。
『霜降月』というのは霜が降りる月。
霜が降りるほど寒い月、ということですね。
旧暦の11月(霜月)は、今の11月下旬から翌年の1月上旬頃。
たしかに霜が降りるような寒い月です。
凋む月(しぼむつき)
太陽の陽ざしが弱まって、ものが 「凋(しぼ)む月」。
これがなまって霜月になったとする説があります。
「凋む」の意味は生気をなくしてちぢまること。
上述のように、旧暦の11月(霜月)は、今の11月下旬から翌年の1月上旬の頃を指します。
この時期は、冬至(とうじ:12月22日頃)を迎えることもあり、1年のうちで、最も日照時間が短く、夜が長い日が続くことから、
「からだも食べ物も自然もなにもかもしぼんでしまう」
といった様子を表したのでは、と考えられています。
食物月(おしものづき)
秋には、各地で収穫祭としてお祭りが行われます。
その代表的なものに11月の勤労感謝の日に行われる『新嘗祭(にいなめさい)』があります。
新嘗祭は、天皇が神々に新穀の収穫を感謝し、これを供えて自らも食する儀式です。
お供え物をいただくことから、「食物月(おしものづき)」と呼ばれていたのが「しもつき」に変化したという説です。
◇ 新嘗祭について詳しくはこちら。
・神嘗祭と新嘗祭の違いは何?意味と由来でスッキリわかる宮中祭祀
霜月以外の11月の呼び名や別名は?
11月を指す言葉としては、「霜月」以外にも色々な言い方があります。
旧暦の11月の呼び名、別名の一部をご紹介しますね。
神来月・神帰月(かみきづき)
10月は日本中の神様が島根県の出雲大社に集まって、各地の神様が不在になるということから「神無月(かんなづき)」と呼ばれます。
それに対して、11月は「神様が帰ってくる月」として、『神来月・神帰月(かみきづき)』と言います。
神楽月(かぐらつき)
農作物の収穫をお祝いする行事で、神楽(かぐら)を演奏することから『神楽月』と呼ばれています。
神楽というのは、神様に奉納するために行う舞や歌のことです。
仲冬(ちゅうとう)
『仲冬』には「冬の真ん中の月」という意味があります。
旧暦における季節の分け方は、
春:1月・2月・3月
夏:4月・5月・6月
秋:7月・8月・9月
冬:10月・11月・12月
11月は冬の真ん中にあたることから、『仲冬』と呼ばれます。
建子月(けんしげつ)
建子月の「建」は、北斗七星の取っ手(柄)を意味します。
古代中国では冬至を含む月に、北斗七星の取っ手の先が真下(北の方角)を指すことから、この月に十二支の最初の「子(ね)」をあてて、『建子月(けんしげつ)』としました。
雪待月(ゆきまちつき)
『雪待月』は、冬ごもりをする前の、雪を待つ月の様子から名付けられたと言われています。
11月を霜月と呼ぶ由来とは?旧暦の季節でわかる名前の意味と別名! まとめ
霜月とは11月を表す和風月名です。
もともとは旧暦(陰暦)の11月を意味する言葉でしたが、新暦の現在でも11月にあてはめて用いています。
11月が霜月と呼ばれる由来は諸説ありますが、霜降月が変化して、霜月となったという説が広く知られています。
11月の呼び名、別名は霜月の他にも数多くあります。
- 神来月・神帰月(かみきづき)
- 神楽月(かぐらつき)
- 仲冬(ちゅうとう)
- 建子月(けんしげつ)
- 雪待月(ゆきまちつき)
いずれの異名も、11月という月の特徴を表す名前がついています。
新暦と旧暦に1ヶ月ほどのズレが生じることを考えると、「霜が降りる月」だから『霜月』というのは、日本人ならではの情緒あふれる言葉ですね。
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