えびす講とはどんな行事?
どのような意味や由来があるの?
いつ行われるの?
酉の市とは違うもの?
その疑問、解消します!
えびす講は一体なんのための祭りなのか、
縁起物の熊手や福笹の意味、
えびす講の祭事の内容や行事食も含めて、
わかりやすくお伝えします。
えびす講とは?
10月に入ると恵比寿神社の恒例行事 、「べったら市」に出かけるのを毎年楽しみにしています。
徳川慶喜も好んで食したという、あの「べったら漬」の露店が所狭しと立ち並ぶ独特のお祭り。
「べったら漬け」とは、塩で下漬けした大根を米麹と砂糖で漬けこんだ漬物です。
べったら市は恵比寿駅前から的屋が並んで、毎年、大賑わいです。
恵比寿ではべったら漬の露天で賑わう「べったら市」として有名ですが、「べったら市」とは通称で、正式なお祭りの名前は、「えびす講(えびすこう)」といいます。
えびす講は、全国各地で古くから続けられているお祭りの行事です。
えびす講とはどんな意味?
えびす講は、神無月(かんなづき)の留守番役「えびす様」にご利益を願う祭事です。
神無月とは10月の別称で、旧暦の10月を指すこともあります。
この神無月は、日本の神様全員が島根の出雲大社に集まる時期とされています。
年に一度、全国各地の神様が会議を行うために出雲に総結集するんですが、その時、留守番役を務める神様がえびす様というわけです。
そのえびす様にお参りして、ご利益を願うという祭事が「えびす講」です。
「えびす祭り」や「えべっさん」とも呼ばれています。
えびす様とはどんな神様?
えびす様は、七福神の一人で、商業・農業・漁業の神様とされています。
右手に釣竿、左手に大きな鯛を持った福福しい姿の男性の神様はどこかで見たことがあるはず。
七福神とは、大黒天(だいこくてん)、毘沙門天(びしゃもんてん)、恵比寿天(えびすてん)、寿老人(じゅろうじん)、福禄寿(ふくろくじゅ)、弁財天(べんざいてん)、布袋尊(ほていそん)の七人の神様の総称です。
七福神と聞くと、七人の神様が宝船に乗っている絵をイメージする人も多いかと思いますが、宝船に乗っているのは、七福神が海の向こうの世界からいらっしゃるという考えからきていると言われています。
えびす様は七福神の中で唯一日本土着の神様です。
その他の神様は中国やインドなど、ルーツは他国の神様なのです。
なかでもえびす様は、商業・農業・漁業の全てを司るマルチな神様として信仰され、一生懸命働くと、えびす様が福を授けてくださると考えられています。
神無月に留守番をしてくださるえびす様に感謝して、五穀豊穣、商売繁盛などを祈願するのがえびす講です。
えびす講の「講」とはどんな意味?
えびす講の「講」とは、同じ信仰をもつ人たちの集まりの意味です。
同じ目的のもとに集まった人々の行事や会合の意味合いもあります。
えびす講は、福の神であるえびす様をまつり、商売繁盛や五穀豊穣、大漁などを願う行事。
もともとは商人が同業者ごとにえびす様をまつる行事から発生しました。
えびす講はいつ行われるの?
えびす講は、神無月の留守番役「えびす様」にご利益を願う祭事でしたね。
旧暦の10月は新暦の10月下旬から12月。
関東ではこのあたりの時期にえびす講の行事が行われるところが多いですが、日にちは地域によって様々です。
関東と中国地方の一部で行われるのは神無月の20日、これは新暦と旧暦どちらの場合もあります。
関西を中心とした地域ではお正月の10日に行なわれる「十日えびす」が有名です。
留守番役を務めてくださるえびす様にお参りする主旨でいうと、神無月に行われるのが自然な気がしますが、えびす様の祭礼としてはお正月の10日に行われた記録の方が古くから存在します。
1853年に編纂された風俗誌『守貞謾稿(もりさだまんこう)』によると、
「正月十日、大阪南今宮戎社詣。(中略)江戸及び諸国にては、十月二十日を戎講(えびすこう)と号して、諸商専ら祭之。」
と記されています。
この当時から西では十日えびすが行われ、東では秋えびすと呼ばれたえびす講が行われていたようです。
古くは鎌倉時代の文献にも十日えびすの祭礼が行われた記録が残されているとか。
また、最初は別の神様を祀っていた神社が、後からえびす様を祀るようになったところも多くあるようで、そのあたりも、えびす講の日にちが全国でバラバラになっている要因となってます。
秋のえびす様は、関東の寳田(たからだ)恵比寿神社や恵比寿神社のべったら祭り、十日えびすは関西の西宮神社や今宮戎神社の福男福娘神事などが有名です。
- 寳田恵比寿神社:毎年10月19日・20日
- 恵比寿神社:毎年10月19日・20日
- えびす宮 総本社 西宮神社:毎年1月9日・10日・11日
- 今宮戎神社:毎年1月9日・10日・11日
えびす講の行事はどんなことをするの?
東京のえびす講はべったら市が有名ですが、全国共通のえびす講の伝統といえば、「熊手」や「福笹飾り」などの縁起物です。
大判小判、鯛やだるまなど、たくさんの縁起物の飾りがついた熊手や福笹飾りは、商売繁盛や家内安全を願って、各家庭やお店に飾られます。
熊手は農作業や掃除の時の道具です。
古くから落ち葉を集める道具に使用されていましたが、この落ち葉をかき集める動作から、
「福や金運をかき集める、運を集める」
として、福を招く縁起物とされました。
特に商売人には熊手は必須アイテムの縁起物とされており、熊手が大きければ大きいほど商売繁盛に繋がるとも言われています。
福笹は「吉兆笹」とも呼ばれます。
笹は葉を絶やすことなく年中青々と繁り、その枝はとても強靭です。
また、真っ直ぐに伸びて成長してゆくという性質があるため、その特徴に、「家運隆盛」「商売繁盛」に通じる縁起をかけています。
えびす講の行事の内容は?
えびす講の行事の内容は、神社の出店で縁起物を販売するのが主で、熊手や福笹が店頭に並びます。
えびす講の開催に合わせ、地域の商店や店舗、商業団体などがイベントを催すケースもあります。
前述の十日えびすが行われる西宮神社では、福を求めて参拝1番乗りを目指す恒例行事『開門神事福男選び』が開催され、毎年ニュースでも取り上げられています。
えびす講の行事食は?
えびす講に特別な行事食はありません。
また、お供えするものについても決まりはありません。
鯛を持っているえびす様にちなんで、鯛を調理して、お供えのあとにみんなで食する地域もあります。
えびす講のお供えは地域によって差がありますが、ご当地の旬の名産をお供えするケースが多いようです。
また、旬の食材を活かしたご馳走をお供えする家や地域もあります。
えびす講と酉の市はどう違うの?
熊手が販売されていたり、寒い時期に行われることもあって、えびす講と酉の市を混同する人も多いのですが、この2つには明確な違いがあります。
えびす講は、神無月の留守番役であるえびす様にご利益を願う祭事です。
一方の酉の市は、鷲(おおとり)神社・大鳥(おおとり)神社・酉(とり)の寺などの、「とり」にゆかりのある寺社で行われている行事です。
えびす講と酉の市は基本的に成り立ちも違い、神社も違い、祭日も違います。
◇ 酉の市についてはこちらの記事をご参考に。
・酉の市とは何するところ?熊手を買うのはなぜ?超初心者の楽しみ方!
えびす講とはどんな行事?意味と由来でわかる酉の市との違い まとめ
えびす講は、神無月の留守番役「えびす様」にご利益を願う祭事です。
「えびす祭り」や「えべっさん」、「十日えびす」ともいいます。
えびす様は、七福神のひとり。
商業・農業・漁業の全てを司るマルチな神様として信仰され、一生懸命働くと、えびす様が福を授けてくださると考えられています。
えびす講は全国各地で行われていますが、日にちは地域によって様々です。
えびす講では商売繁盛や家内安全を願う熊手や福笹飾りなどの縁起物が販売されている他に、その地域ならではのイベントも開催されています。
福をもたらすマルチな神様、えびす様のお参りは相当のご利益が期待できるかもです。
今年のえびす講はありがたいご利益を授かりに出かけてみませんか?
◇ 熊手・酉の市の話題はこちらをどうぞ
・ 熊手の正しい飾り方!飾る場所と願いをかなえる方角をご紹介
・去年の熊手は処分するべき?知っておきたい扱い方と5つの処分方法
・縁起物の熊手は必要経費?勘定科目にふさわしい4つの項目とは?
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