縁起物の熊手は必要経費で処理できる?
経費で落とすなら勘定科目は何になるの?
項目はどう選ぶ?
その疑問、解消します!
事業主が熊手を経費にする時の考え方、
計上する勘定科目の特徴、
熊手の値段による項目の選び方も含めて、
わかりやすくお伝えします。
熊手は必要経費で処理できる?
酉の市やえびす様、そして年末年始などに「熊手(くまで)」を買っている人は多いですね。
特に商売をしていると、毎年必ず熊手を購入しているケースも少なくありません。
縁起物の熊手は、元々は農具として売られていた熊手を、
「金運を集める」
「福をかき込む」
と洒落を交えて売り始め、
それにどんどんと大判小判、松竹梅などの飾りや宝船に乗った七福神を付けるようになって今の形になったものです。
熊手のメインに「おかめ」のお面がついたものもあります。
おかめは「お多福 (おたふく) 」とも呼ばれ、その名の通り、福を多く招く女性のことです。
このように、熊手は、招福を願うことから生じた縁起物なので、だるま同様、年々大きいものに買い替えていくのが良いという話もあります。
毎年、少しずつ大きな熊手を飾るようになれば、自分の商売が繁盛しているという体裁もあるのかもしれませんね。
事業主が熊手を商売繁盛を願って購入した場合、この熊手の購入にかかった費用は経費になるのでしょうか。
熊手は必要経費になる?
結論からいうと、熊手を購入した場合の費用は経費として処理することができます。
経費とは、事業を行うために使った費用(コスト)のこと。
経費は個人事業主でも法人でも必ず発生するものです。
熊手を購入する目的としては、「商売繁盛」などの祈願ですよね。
これは、事業を行うために使った費用にあたります。
なので、「領収書」は必ずもらうようにしてください。
神社で購入すると、「神納証」といった形式の領収書が発行されます。
縁日などで熊手を購入する場合も、手書きのものでもかまわないので、領収書は必ずもらっておくようにしてください。
熊手を経費で処理できるということであれば、次に気になるのは、「勘定科目」を何にするべきか、というところですよね。
熊手を勘定科目のどれにあてるのか、についてはいくつかの考え方があります。
熊手に使える勘定科目とは?
「勘定科目」とは、資産や負債の増減、収益や費用の発生といった取引の内容を表した名称のことです。
誰でも同じような仕訳が行えるように設けられた、項目ごとの表示名が勘定科目です。
勘定科目の決め方には、厳格な法律の基準がありません。
そのため、企業のルールや会計ソフトによって異なることもあります。
だからといって、自由に設定してよいわけではなく、一般的に広く使われている勘定科目を使用する必要があります。
熊手を経費として処理する勘定科目としては、以下の4つの項目があります。
1. 福利厚生費
2. 雑費
3. 消耗品
4. 交際費・接待交際費
勘定科目というのは、誰が仕訳しても明白なものもありますが、会社の形態や規模、相手先やその内容によっても解釈の仕方が違ってくるものです。
肝心なのは、「その勘定科目にした根拠が明解であること」です。
つまり、
「税務署から理由を聞かれた時にしっかりと説明出来る勘定科目か?」
ということが重要です。
熊手に限らずですが、上述のように、会社の形態や事業規模によっても勘定科目の解釈は違ってきますし、かかった費用の大小によっても勘定科目は異なってきます。
費用でいえば、熊手の場合、価格帯はピンキリです。
熊手の値段は、小さな熊手は1,000円から、大きなものでは数十万するものもあります。
- 小さい熊手 : 1,000~3,000円
- 個人商店 : 5,000~15,000円
- 中小企業 : 10,000~30,000円
- 大企業 : 30,000~200,000円
商売で飾る場合の売れ筋は2~3万円の熊手ですが、上は天井知らずで100万円の値段がする熊手もあれば、その上をいくBIGな熊手もあります。
こういった熊手の値段によっても、勘定科目の解釈は違ってきます。
熊手の経費にふさわしい勘定科目は?
熊手を必要経費で処理する時の勘定科目を、「福利厚生費」・「雑費」・「消耗品」・「交際費・接待交際費」のどれで処理するのか、それぞれの考え方をお伝えしますね。
熊手の経費は福利厚生費?
「福利厚生費」とは、従業員の慰安会費、医療費、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、中小企業退職金共済事業団等に対する退職共済掛金など事業主が負担する費用をいいます。
福利厚生費というのは、
「従業員全員が対象となる行事」
ということが条件です。
福利厚生費は、主に慰安旅行や弔辞の際の支払金、保険などが対象となっていることが多いです。
熊手の場合、従業員全員で「商売繁盛」を願ったり、従業員全員で「安全」や「健康」を祈願する意味合いがあるので、福利厚生費で処理するのがふさわしいと言えます。
「商売繁盛や招福は全従業員の思いでもあり、熊手が飾られることで士気が上がる」
という考え方ですね。
税務署に質問された時の回答としても、理にかなっていると思います。
個人事業主の場合は、もともと福利厚生費という項目自体、シビアに見られるので、福利厚生費とするのは避けた方が無難です。
熊手の経費は雑費?
熊手を「雑費」で処理する企業も多くあります。
熊手は年に一回くらいしか出てこない項目なので、雑費で扱うところが多いんですね。
ただ、雑費で処理すると、顧問の税理士さんから、決算期に内容を尋ねられることがあります。
また、熊手が高額の場合など、税務調査が入ったときに、チェック項目となる恐れがあります。
熊手を雑費で処理する時は、雑費が経費全体に占める割合も考慮することが必要です。
熊手の経費は消耗品?
雑費同様、熊手を「消耗品」で処理するケースも多くあります。
消耗品とは、帳簿等の事務用品の費用や包装紙、テープ、事業用の車両用ガソリンなどの費用、器具備品のうち、使用可能期間が1年未満のものや取得価額が10万円未満の少額なものをいいます。
熊手は基本、1年のローテーションで買い替えるので、消耗品にあたります。
ですが、熊手が10万円以上の高額の場合は、消耗品の範疇ではなくなりますね。
熊手を飾る人の中には、翌年も同じ熊手を飾るケースもあります。
その場合は2年以上使用することになるので、消耗品にはあたらなくなります。
◇ 同じ熊手を翌年も使用するケースはこちらをご参考に。
・去年の熊手は処分するべき?知っておきたい扱い方と5つの処分方法
熊手の経費は交際費・接待交際費?
「交際費・接待交際費」は、事業用の茶菓子代、飲食費及び贈答費用などをいいます。
熊手の購入先が会社と縁がある場合などは、交際費で処理するケースがあります。
また、会社の行事として神社の参拝を行う場合や、その流れで熊手を購入した場合なども、「交際費」として一括りに計上されることがあります。
縁起物の熊手は必要経費になる?勘定科目としてふさわしいのは? まとめ
熊手を購入した場合の費用は経費として処理することができます。
熊手を経費で処理する場合の勘定科目は4つあります。
1. 福利厚生費
2. 雑費
3. 消耗品
4. 交際費・接待交際費
どの勘定科目にするのかは、会社の形態や規模、かかった費用や金額、その内容によっても解釈の仕方が違ってくるものです。
肝心なのは、その勘定科目にした根拠が明解であること。
「税務署から理由を聞かれた時にしっかりと説明出来る勘定科目か?」
ということが重要です。
購入した熊手を、「福利厚生費」・「雑費」・「消耗品」・「交際費・接待交際費」のどれに入れるのがふさわしいのか、
現状の帳簿のバランスと照らしあわせて考えてみてくださいね。
◇ 熊手の話題 こちらもどうぞ。
・熊手の正しい飾り方!飾る場所と願いをかなえる方角をご紹介
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