残暑の候とはどんな意味?
読み方は?
使う時期はいつからいつまで?
使い方がわかる例文や注意点は?
その疑問、解消します!
時候の挨拶で使い始める時の注意点、
ビジネスシーンで使える例文テンプレート、
個人向けの文例も含めて、
わかりやすくお伝えします。
残暑の候とはどんな意味?
夏空が広がる8月、
なにかのイベントでの挨拶や
手紙やビジネスレターのやりとりに
欠かせない時候の挨拶に、
『残暑の候』
があります。
時候の挨拶とは、
手紙などで最初に書く
季節を表す言葉を用いた文章です。
『残暑の候』は「ざんしょのこう」と読みます。
時候の挨拶はたいがい音読みなので
「候」もそのまま「こう」と読みます。
ちなみに、音読みとは、もともと中国語としての漢字の発音に基づく読み方です。
一方、訓読みは、その漢字の持つ意味を日本語に翻訳したところから生まれた読み方です。
『残暑の候』は
「暦の上では秋ですがまだ暑さが残りますね」
という意味です。
秋まで残る暑さが残暑。
残暑は、立秋を過ぎてもなお残る暑さを
意味しますが、
うだるような暑さが続く中にも
少しずつ秋に近づいていく時期です。
『残暑の候』の「候」とは?
『残暑の候』の「候(こう)」は、
『陽春の候』とか『新緑の候』といったように
時候の挨拶で使われる言葉で、
「季節」や「時期」を表す意味があります。
「候」のニュアンスとしては
「~というふうに季節も移り変わってきましたが」
というくらいの意味合いです。
「候」というのは、
もとは古い中国の暦で、
360日(陰暦は一年が360日)を
72等分した単位(5日間)のことを示す言葉でした。
今でいう「週」みたいなものですね。
そこから「季節」とか「時期」という
意味が生まれたのです。
ちなみに「候」が2つで
「旬」=10日間
という単位になります。
今でもひと月を上旬・中旬・下旬と
3つに分けるのはこの名残です。
残暑の候を使う時期はいつ?
『残暑の候』を使う時期は
二十四節気の立秋から処暑の期間中です。
立秋は8月7日頃~8月22日頃
処暑は8月23日頃~9月6日頃
なので、『残暑の候』は
「8月7日頃から9月6日頃」
に使える挨拶です。
残暑見舞いを送る場合も、
この「8月7日頃から9月6日頃」に
送るのがマナーとなっています。
ただ、9月にはいると
「初秋の候」や「清涼の候」といった
秋の挨拶(季語)があるので、
『残暑の候』を使う時期としては
立秋を過ぎてから8月いっぱいを目安に
するのが良いと思います。
旧暦では、
1月~3月を春、
4月~6月を夏、
7月~9月を秋、
10月~12月を冬と考えます。
8月の「立秋」同様、2月の「立春」や
12月の「冬至」なども旧暦の考え方です。
旧暦は、現在使われている「新暦」とは
ズレがあって、大雑把に言えば、
旧暦の方が1ヶ月ほど早く季節が進んでいます。
そのため
8月は暑い盛りで夏の真っ只中ですが
旧暦では7月~9月が秋になるので、
新暦で暮らしているわたしたちには
「暦の上では秋ですが」
といった表現になるわけです。
残暑の候の使い方と例文
『残暑の候』などの時候の挨拶(季節の挨拶)は、
本文の前に置かれる、
前文部分で用いられる表現です。
「拝啓」などの『頭語(とうご)』の直後の、
文章の書きはじめに、
時候の挨拶を添えるのが一般的になります。
『頭語』には、
「申し上げます」
という意味があります。
『頭語』は手紙の冒頭に書く「こんにちは」にあたる言葉です。
「申し上げます」
という意味があります。
一方、
「敬具」「早々」など、
文章の結びに最後に書く言葉を『結語(けつご)』と言います。
あらたまった手紙は「前文」の頭語で始まり、
「末文」の結語で終わります。
結語も手紙の結びに書く「さようなら」にあたる言葉で、
頭語に対応した言葉を使うのが一般的です。
手紙を出す相手や状況によって、
様々な頭語・結語の表現方法があります。
『残暑の候』の使い方を例文でご紹介しますね。
残暑の候:会社・ビジネス用の例文
ビジネスシーンでは、
主にややかしこまったスタイルで用いられます。
残暑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
(——↑前文部分——)
さて、~(主文)
つきましては、~(主文)
末筆ながら貴社の一層のご発展をお祈り申し上げます。
まずは略儀ながら書中にてお知らせいたします。
敬具
手紙は一般的に頭語で始まり結語で終わります。
頭語と結語はある程度組み合わせが決まっています。
「拝啓(はいけい)」で始めたら、
結語として「敬具(けいぐ)」、
もしくは
「敬白(けいはく)」で終わるのがセットです。
また、
「拝啓」よりも丁寧な頭語として
「謹啓(きんけい)」があります。
「謹啓」で始めたら、
結語として「謹言(きんげん)」、
もしくは
「謹白(きんぱく)」で終わるのがセットです。
上記を参考に以下の例文をアレンジしてみてくださいね。
「謹啓 残暑の候、御社におかれましてはいよいよご盛栄のことと拝察いたします」
「謹啓 残暑の候、貴社にはますますご隆盛の段、慶賀の至りに存じます」
盛夏の候:個人用の例文
個人に宛てる場合は、
相手との関係によって内容が異なりますね。
相手に失礼にあたらないように、
改まった書き方をする場合はこんな感じです。
「拝啓 残暑の候、貴殿におかれましてはいよいよご清祥の段、何よりと存じます」
「拝啓 残暑の候、貴殿におかれましてはいよいよご健勝の趣、何よりと存じます」
「拝呈 残暑の候、貴殿にはますますご健勝の趣、お慶び申し上げます」
「拝啓 残暑の候、◯◯様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます」
「拝啓 残暑の候、皆様におかれましてはご健勝にてお過ごしのこととお喜び申し上げます」
親しい相手にはフランクでもOKです。
頭語は文字数が限られているはがきでは
省略する場合もありますし、
親しい間柄では頭語をあえて使わず、
結語も
「では、また」
などで終えるケースも増えています。
「拝啓 残暑の候、暦の上では秋になりましたが、毎日暑い日が続いております」
「拝啓 残暑の候、立秋とは名ばかりの暑い日が続いておりますが、夏バテなどしていませんか?」
「拝啓 残暑の候、例年にない暑さですが、皆さまお変わりありませんか」
「拝啓 残暑の候、寝苦しい夜が続いておりますが、いかがお過ごしですか」
「拝啓 残暑の候、◯◯様はいかがお過ごしでしょうか」
「拝啓 残暑の候、暑い日が続きますがいかがお過ごしですか」
「拝啓 残暑の候、秋風が恋しい時期となりました」
「残暑の候、連日の猛暑ですが、ますますご活躍のことと拝察いたします」
残暑の候とはどんな意味?使う時期はいつ?使い方と例文もご紹介! まとめ
『残暑の候』は「ざんしょのこう」と読みます。
「暦の上では秋ですがまだ暑さが残りますね」
という意味で、
『残暑の候』の「候」には
「季節」や「時期」を表す意味があります。
『残暑の候』は
「8月7日頃から9月6日頃」
に使える挨拶ですが、使う時期としては
「立秋を過ぎてから8月いっぱい」
を目安にするのが良いかと思います。
手紙は一般的に頭語で始まり結語で終わります。
頭語と結語はセットになっており、
相手との関係によって
さまざまな組み合わせがありますが
親しい相手に送るはがきでは省略されることもあります。
8月は夏から秋へと変わっていく季節です。
『残暑の候』はビジネスシーンはもちろん、
親しい方への残暑見舞いにも使える時候の挨拶なので、
例文を参考に使ってみてくださいね。
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