みょうがを食べると物忘れをすると言うのはなぜ?
茗荷と物忘れが結びついた由来は?
効能や栄養は?
その疑問、解消します!
みょうがを食べると物忘れの真相、
お釈迦様との関係、
言い伝えが落語になった噺、
みょうがの効用も含めて、
わかりやすくお伝えします。
みょうがを食べると物忘れをすると言うのはなぜ?
夏の薬味に欠かせないみょうが。
みょうがは漢字で「茗荷」と書きます。
そうめんや冷奴の付け合せにするとおいしいですよね。
6月から10月過ぎの初夏から秋にかけての間が旬のみょうがは、
シャキシャキとした独特な歯ごたえと爽やかな香りで
薬味のみならず、
いろんな料理に使える優秀食材です。
酢の物や味噌汁の具にしてもおいしく、
料理にきれいなピンク色の彩りを添えてくれます。
みょうがは根っこで増えるので増殖しやすい野菜です。
子供の頃はみょうがの旬の時期になると
近所のおばさんが「おすそ分け」と言って、
大量のみょうがを届けてくれていました。
よく、
「みょうがを食べると物忘れがひどくなる」
とか
「みょうがを食べるとバカになる」
といった言い方を耳にしますが、
学生時代、試験勉強に苦しみ、
「もしかして、自分のアタマは幼少期からのみょうがの食べ過ぎが原因?」
と不安になり、
『みょうがを食べると物忘れをする』
と言われる話の真偽を調べたことがあります。
もちろん俗説、
みょうがで物忘れは知名度の高い迷信です^^
茗荷と物忘れが結びついた由来は?
みょうがの迷信、
『みょうがを食べると物忘れをする』
という由来で広く知られているのが
お釈迦様の弟子の話です。
お釈迦様の弟子のひとりに周利槃特(しゅりはんどく:チューラパンタカ・チュッラパンタカ)という人物がいました。
周利槃特は非常に物覚えが悪く、
自分の名前さえ忘れてしまうことがあったので、
名札に自分の名前を書いて首にかけていました。
この名札のことを「名荷(みょうが)」と言います。
彼の物覚えの悪さは、
首にかけている「名荷」のことすら忘れてしまうほどだったとか。
周利槃特の死後、
そのお墓に生えてきた草を
「名荷(みょうが)」と名付けました。
同音の「名荷」と「茗荷」をかけて
『みょうがを食べると物忘れをする』
という俗説が生まれたと言われています。
物覚えが悪いとされた周利槃特のエピソードですが、
一方でこんな話もあります。
周利槃特は、なんとかお釈迦様の教えを覚えようとするのですが、
どうにも覚えられず、
自分の愚かさに涙を流し途方にくれていました。
それを見たお釈迦様は、
「自分のことを愚かだと知っている者は愚かではない。
自分は賢いと思い込んでる者こそ愚かなのだ」
とおっしゃり、
ほうきを周利槃特に手渡して、
「ごみを払おう、あかを除こう」
と唱えて掃除をしなさいと教えました。
その日から周利槃特は毎日毎日、
雨の日も、風の日も、暑い日も、寒い日も、
「ごみを払おう、ちりを除こう」
と唱えながら何十年も掃除をし続け、
ついには自分の心のごみやあかを全て除き、
阿羅漢と呼ばれる聖者の位にまでなりました。
周梨槃特が亡くなったのち、
彼のお墓には見たことがない草が生えました。
この草は、
周梨槃特が自分の名を背に荷(にな)って、
ずっと努力しつづけたことから、
「茗荷(みょうが)」
と名づけらたというお話です。
どちらのエピソードも
お釈迦様の弟子である周利槃特にちなんでいますね。
茗荷の物忘れと落語「茗荷宿」
古典落語に「茗荷宿(みょうがやど)」という噺(はなし)があります。
茗荷を食べさせて客に財布を忘れさせようとした欲張り夫婦のお話です。
この落語が江戸時代にヒットしたことから、
『みょうがを食べると物忘れをする』
ということが広まったと言われています。
古典落語の「茗荷宿」を簡単にお伝えしましょう。
■ 落語の茗荷宿
とある宿屋に年配の商人風の旅の男(飛脚という噺もあります)が、
「一晩泊めてくれ」
と入って来て、
商用の百両が入っているという荷物を預け、
すぐに寝入ってしまいます。
百両に目がくらんだ宿屋の夫婦は、
茗荷を食べると物忘れをするという説が昔からあるので、
客の男にみょうがを食べさせて
この客が預けた大金を忘れさせてしまおうと図ります。
翌朝起きてきた客の男に宿の女房は、
「今日は先祖の命日で、みょうがを食べる慣わしになっています」
とみょうが茶を出し、
みょうがの味噌汁から始まってみょうがの炊き込みご飯、
みょうがの酢の物などなど全てみょうが料理、
みょうがづくしの朝食をふるまいます。
客の男は
「うまい、うまい」
と満足して、
宿屋の夫婦の算段どおりに預けた荷物も忘れて宿を立ちます。
「道中お気を付けて」
無事送り出し夫婦揃って喜んでいると、
すぐに客の男が忘れた荷物を受け取りに戻ってきて、
急いで行ってしまいました。
がっかりした女房が、
「なんだ、茗荷の効き目もなかったね」
というと亭主が、
「いや、よく効いた」
「どうして?なにか忘れた?」
「あの客、宿賃の払いを忘れていった」
百両に気を取られて宿賃をもらい忘れていたという一席です。
みょうがの効能と栄養
『みょうがを食べると物忘れをする』
は世間に言い伝えられる根拠のない話です。
みょうがは平安時代にはすでに食用として利用されていたといいますから、
本当にみょうがで物忘れをするのであればエビデンスがあるはずですし、
何より薬事法で引っかかります。
みょうがはショウガ科ショウガ属の多年草で
英語では「japanese ginger」と呼ばれます。
みょうがの原産は日本、中国、東南アジアとも言われていますが、
はっきりしていません。
みょうがの栄養素
みょうがの成分は、ほとんどが水です。
その量はみょうがの95%といわれています。
水以外にはビタミンC、
カリウム、ビタミンB群、
カルシウム、マグネシウム、
鉄、リン、などが含まれています。
みょうがのカロリーは?
みょうがはほとんどが水分ということから、
カロリーは100gで12Kcal。
非常に低カロリーな食材なので、
ダイエットに向いている食品といえますね。
みょうがの効果と効能
「みょうが=物忘れ」は迷信!
みょうがには物忘れをさせるような成分や効能は、全く含まれていません。
逆に、
集中力がアップする効能を持つことが分かってきています。
それは、みょうがの香り成分である『α‐ピネン』。
頭をすっきりさせたり、
眠気を吹き飛ばしたりといった覚醒作用の他、
神経の興奮を鎮めてストレスを和らげたり、
解熱や解毒などの効用を持つとも言われています。
確かにみょうが独特の香りは
すっきりさわやかな気分を味あわせてくれます。
『α‐ピネン』の「ピネン」の名前はマツに由来し、
マツが発する香りの元でもあります。
ということは、
ピネンを含むみょうがを食べると、
ヒノキやマツの中で森林浴するかのように、
リラックス効果も得られるというわけです。
さらに、
血液の循環をよくしたり、
消化を促進する働きのほか、
発汗を促すので、
体内の熱を外へ出したり、
汗と一緒に余分なものも出してくれるデトックス効果もあります。
また、香り成分以外にも、
みょうがの辛味成分には
口内炎やのどの痛みに有効な成分も含まれています。
栄養素のところで触れましたが、
みょうがに多く含まれるカリウムは、
身体の中の余分な塩分を排出してくれるので、
むくみ防止に効果があります。
むくみやすい夏の時期、
旬のみょうがをいただくのは理にかなっていますね。
みょうがを食べると物忘れすると言うのはなぜ?効能と栄養もご紹介! まとめ
『みょうがを食べると物忘れをする』
は知名度の高い迷信、デマです。
茗荷と物忘れが結びついたのは、
お釈迦様の弟子のひとり、
周利槃特(しゅりはんどく)に由来しています。
江戸時代に落語の「茗荷宿」が流行ったことから、
広く知られるようになりました。
みょうがの成分は、ほとんどが水で
カロリーは100gで12Kcal。
みょうがの香り成分である『α‐ピネン』には
集中力がアップする効能のほか、
リラックス効果やデトックス効果など
さまざまな効用があります。
体内の水分調整をしてくれる上、
いろいろな効能があるみょうが。
もし迷信で避けているなら、
とてももったいないですね^^
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